ユニファ開発者ブログ

ユニファ株式会社プロダクトデベロップメント本部メンバーによるブログです。

デザイナー的に面白く読めた絵画の本

こんにちは。ユニファでデザイナーをしている中村です。

大変個人的な意見となり恐縮ですが、2歳児というのはとてもかわいいです。

まわりから得る言葉をいろいろ咀嚼して言語が大発達する頃合いだと思うのですが、弊2歳女性に関しても同様で、食事の後にいつも「ダイコン!パーイ!!」と叫びます。意味は「ダイコン」が、彼女にとっての「フルーツ」で、「パーイ」は「食べたい」という意味ですので、つまるところ「フルーツを食べたい!」という要望になるのですが、アウトプットとしては「ダイコン!パーイ!!」なので初見では理解できません。かわいい。

ちなみにですが、みかんを前にしても「ダイコン!!」と言いますし、りんごを前にしても「ダイコン!!!」と叫びます。

さて、この記事は、ユニファAdvent Calendar 2021の16日目の記事になります。今回は、今年読んだ本で面白かったものを紹介いたします。

adventar.org

絵を見る技術 名画の構造を読み解く

絵を見る技術 名画の構造を読み解く

私がいわゆる美術系の学校を出たわけではない、現場で育ってきたタイプのデザイナーなので、もしかすると美術系学校出身の方は一般知識なのかもしれませんが、この本がとても「デザイナーとして」興味深く読めたのでご紹介します。

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名画はデザインされている

良いデザインには理由があります。というか、デザインには全部理由がありますので、自分がデザインをしていても、このパーツがどんな効果を狙っているのかだいたい説明ができます。このあたりの話は、前回に書いた記事がひとつ参考になるかもしれません。

デザイナーが説明するルクミーウェブサイト - ユニファ開発者ブログ

この本を読むと、名画に関しても同じことが言えることがわかります。名画がなぜ名画なのか、この絵になぜ惹きつけられるのか、評論家はなにを評価しているのか。実例が豊富で、名画を見ながら「この絵はなにを狙っているのか」が解説されています。なのでデザイン云々に知識がなくても大丈夫です。名画をみて感じた自分の印象、それが実は名画側によってどうデザインされているかが見えてくるのです。

名画はだいたい著作権が切れていますので、実際にひとつ例を出してみます。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」

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「12使徒の中の一人が私を裏切る」とキリストが予言した時の情景が描かれています。

有名な作品で、絵に知識のない人がみても、誰が主役かが一目瞭然です。そう。真ん中のキリストです。この、「主役がキリスト」であることに対して、本書ではさまざまな技術が使われていることを教えてくれます。

  • 一点透視法で、消失点がキリストに向けられている。
  • まわりの使徒たちから伸びる「手」や「視線」がキリストに向けられている。
  • キリストの後ろだけ明暗差がはっきりするよう、明るい空が描かれている。
  • さらに中心にスポットライトがあたっており、外側にいくにつれて暗くなっていく。

このような技法が駆使され、主役がキリストであることが誰の目にも明らかになっています。他にも絵画の技術としては、4つの使徒のグループがあるんですが、どれもだいたい同じぐらいの密度・大きさになっている点、裏切り者のユダ(左から見て5番目の、青い服をきた黒髪の使徒)だけ右手に袋(裏切った報酬)を持っている点、そしてのそのユダのすぐ後ろにナイフを持った手が描かれている点、などがあるそうです。

ジャン=レオン・ジェローム 「アレオパゴス会議でのフリュネ」

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フリュネが、不敬虔を理由に裁判にかけられた場面。弁護人がフリュネの衣服を剥ぎ取って裸にすると、フリュネは無罪となった。

主題となるのはやはり左手に見える裸婦フリュネなのですが、よく見るとフリュネだけでなく、もう一つ目を引く存在がいることに気づきます。フリュネの反対側に置かれている黄金像ですね。では、なぜ黄金像にも目がいくようにされているのか。

  • 人々の視線はみなフリュネを見ている。(フリュネにまず視線が集まる)
  • 地面に描かれている模様や線も、フリュネに向いている。
  • フリュネだけ裸体でコントラストが強く、ひときわ浮き出ている。
  • 一点透視法の消失点は、けれど黄金像にある。
  • フリュネの左肘は、黄金像を指している。
  • ポーズもフリュネと黄金像は相似形になっている。

こういった工夫が施されているため、フリュネにまず視線が集まりつつも、黄金像にも目がいくようになっています。

デザイナー視点で感じたこと

ご紹介したのは本書の中でも最初の数ページの話で、他にもたくさんの「名画たる理由・工夫」がさまざま記載されているわけですが、これってつまり「デザイン」だなぁと読んでいて感じました。

主題となる「キャッチコピー」や「写真」といったものにどう視線を集めるのか。色の配置、流れ。今では一般的になったデザインのさまざまな手法も、実は昔から試行錯誤されてきた歴史のもとに作られている……。

おわりに

別に著者の知り合いでもなんでもないのですが、ご興味がありましたらぜひ手にとってみてください。

ちなみに、ユニファではこういった「見る人が見ればわかる細かい工夫」がプロダクトの中にたっくさんあります。話を聞くと「へー!こんなことも考えられてるんだ、こういうケースも考慮してる、すごーい!」となる部分がたくさんあります。興味ができたら、ぜひユニファの門も叩いてもらえると嬉しいです。

はい。採用への誘導ですね。わかります。強引ですが仕方がないのです。本当にありがとうございました。

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