ユニファ開発者ブログ

ユニファ株式会社プロダクトデベロップメント本部メンバーによるブログです。

社内でChatGPTが普及したきっかけの話

こんにちは、プロダクトマネジメント部のやまぐち(@hiro93n)です。今回は、ChatGPTが社内でどのように普及していったのかについてお話しします。

現在、ユニファでは、#temp_chatgpt_playground というSlackチャンネルを使って、AIを利用したSlackボットを試すことができます。ここでは、各自が開発したSlackボットを共有し、試すこともできます。

技術に興味を持つ人は、どこでも面白いものに触れる機会があると思いますが、実際に触っているのはエンジニアなど、テクノロジーに明るい人たちが多いです。ChatGPTについても同様で、2022年12月頃にエンジニア雑談チャンネルで話題になりました。

ChatGPTの活用可能性の話題が出ている中で、それが実際の業務に活かせるのか?活かすために取り組んだ方が良いんじゃないか?と言うところには大きなギャップがありました。いわゆる「ニュースサイトや記事のURLを貼る人」はいるものの、それを実際に触っている人がほとんどいないと言う状況です。

なんか分からないけど取りあえず触ってみると言う人は世の中にはあんまりいないというのが実際で、昔いた職場でアプリのユーザーテストをしたときにも「どんなもの分からなかったら色々なボタンを押して試そうだなんて思わない。怖いので触りません」という方が主流でした。社内で何かまたいつもの人が新しい技術に飛びついて盛り上がってるわ…となるのが最悪で、ちゃんと会社としてそれに取り組もうとする場合、当然フォロワーを探さなくてはなりません。

普及のきっかけ

結論から言うと、OpenAIの競合であるClaudeのSlack botが、ChatGPTの普及を促すきっかけとなりました。以前から、ChatGPTのSlack botや社内マニュアルを統合したSlack botも稼働していましたが、あまり活用されていませんでした。それでも、botをリリースして広報活動を行うことで、段階的に #temp_chatgpt_playground にアクセスする人が増えていました。しかし、Claudeの登場以降はこれまでとは比較にならないほど多くの人がChatGPTを利用し始めました。このように自分が作ったものでなくても、市場適合性、いわゆるPMFを感じる瞬間がありました。

このような普及が起きた理由は何でしょうか? 考えられる理由を以下に示します。

レスポンスの速さ

ChatGPT(GPT-3.5)のAPIは、それなりに難しい質問をすると30秒以上かかることがあり、現在では1分を超えることも珍しくありません。それに対して、Claudeは数秒以内に結果を返してきます。考えられることの幅や深さを考えると、ChatGPTの方が優れている場合もありますが、社内のSlackで知りたいことに答えてくれるという利用方法では、速さが重要な要素となっていました。

URLの読み取り

ChatGPTもプラグインを使用すればURLの読み取りができますが、ClaudeはプラグインなしでURLの読み取りが可能でした。ChatGPTの場合、URLを平文で貼り付けると「それっぽい」回答を返すことができますが、実際には読んでいない状況が生じることがあります。しかし、Claudeは実際のHTMLの中身を解析し、質問に応じて適切な回答を提供していました。

スレッド対応

ChatGPTのbotは次世代プラットフォームで開発しました。普段のslack apiだとeventとしてapp_mention経由でタイムスタンプが取れるのでこれを使って返信するとスレッド返信に対応できますが、次世代プラットフォームだとeventとしてapp_mentionedになっており、これはタイムスタンプを取ることができません。つまり、botにメンションを送った場合の返信をスレッドに返すことが正攻法ではできないことになります。(注:これに関しては自分の調査が足りない可能性もあります)

インフラを気にせずデプロイできるところなどDX素晴らしい所がありさくっとリリースできるのは良かったのですが、スレッド対応がなかったためにひとつのch内で他人の回答も混ざってしまうことで使いづらさが発生していたのが厳しいポイントだったのかもしれません。なお、このbotは追ってboltで作り直しています。

ChatGPTじゃないので利用者が多い

普段プライベートでChatGPTを使っている人がClaudeを使っていないので、Slack経由で試す機会が増えたようです。結果的に「みんなbotに質問するものなんだ」という雰囲気が生まれ、利用者の心理的ハードルが下がりました。

さらに、利用者の裾野が広がったことで各人のAIで解決したいことが可視化されたのも副次的な効果として得られました。

まとめ

以上、ChatGPTの普及について見てきました。技術的に面白いものに対し興味を持つ人が触ることはどこでもあると思いますが、多くの場合はエンジニアなど、テクノロジーに明るい人だけが盛り上がっていることが多いです。しかし、Claudeの登場により、社内でもChatGPTに興味を持ち始める人が増え、実際の業務に活かせる可能性を探る動きが広がりました。

その上で、普段ChatGPTのようなテクノロジーに触れていない方に対するサービス作りで必要なこととして得られたこととしては

  • レスポンスが良いこと
  • 遊び心があること
  • 利用事例(こんなこと聞いても良いのか、など。高尚なワークだと思われている)を知る機会があること

あたりが挙げられます。当たり前な感じもしつつ、特にレスポンスが良いことで短時間に繰り返し試行錯誤ができるのはこの領域だと特に重要性が高いと考えます。

開発者だけが盛り上がるのではなくそうじゃない人を巻き込むの大事であり、botについてもCFOまで遊びはじめたのは自分としても普及を感じるポイントでした。 作ることだけでなく使ってもらうハードルの考え方は普段のプロダクトマネジメントでも大事なことだと、思わぬポイントで思わされた事例です。

<求人コーナー>

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