こんにちは。iOSエンジニアのキムです。 iOSアプリを開発する際、UIKitとSwiftUIのどちらを選択すべきか悩むことがあります。これらのフレームワークは、それぞれ異なる特性と強みを持ち、状況に応じて適した選択が異なります。本記事では、それぞれの特徴とメリット・デメリットを比較し、実際の使用ケースを基に、どのような場面でどちらが適しているのかを解説します。
2つのフレームワークの長所と短所、実際の使用事例を比較
UIKit:伝統的な強者
特徴
UIKitはiOS 2.0から提供されている、伝統的なUIフレームワークです。Interface BuilderやStoryboardを使ってUIを視覚的に構築でき、コードによる詳細な制御も可能です。メリット
安定性:長年にわたり実績があり、多くの機能と豊富なドキュメントが存在します。
柔軟性:複雑なUIやカスタムコンポーネントの作成に適しています。
互換性:多くのiOSバージョンと互換性があり、既存のコードとの統合が容易です。デメリット
複雑さ:コードが冗長になりがちで、宣言型プログラミングに比べて直感的ではありません。
学習コスト:Auto LayoutやDelegateパターンは初心者にとって難しい場合があります。
使用ケース
- 既存プロジェクトの保守:UIKitで作成されたプロジェクトの更新や機能追加。
- 複雑なカスタムUI:詳細なレイアウト制御や複雑なビュー構造が必要な場合。
- 古いiOSバージョンのサポート:iOS 13以前のバージョンをサポートする必要がある場合。
SwiftUI: 未来への一歩
特徴
SwiftUIは2019年にAppleが導入した最新のUIフレームワークで、宣言型の構文を使用してUIを構築します。iOS、macOS、watchOS、tvOSなど、すべてのAppleプラットフォームで使用できます。メリット
簡潔なコード:宣言型の文法により、コードが短く、理解しやすいです。
プレビュー機能:XcodeのCanvasを使ったリアルタイムプレビューで、開発速度が向上します。
クロスプラットフォーム:一度コードを書けば、他のAppleプラットフォームでも再利用可能です。デメリット
機能の制限:UIKitに比べて高度なカスタム制御が難しい場合があります。
バージョン互換性:SwiftUIはiOS 13以降でしかサポートされないため、古いバージョンでは使用できません。
新しい学習が必要:UIKitに慣れている開発者には、新しい概念への適応が必要です。
使用ケース
- 新規プロジェクト:iOS 14以降をターゲットにする場合。
- 迅速なプロトタイピング:シンプルなUIを素早く構築する場合。
- シンプルなUI:データバインディングが多いアプリや、複雑でないUI構成に最適です。
UIKit vs SwiftUI: ソースコードを使った比較
それぞれのフレームワークの違いを理解しやすくするために、シンプルな「To-Doリスト」の例を使って、UIKitとSwiftUIの実装を比較します。
UIKitでの実装例
import UIKit class ToDoViewController: UIViewController { let tableView = UITableView() var tasks = ["タスク 1", "タスク 2", "タスク 3"] override func viewDidLoad() { super.viewDidLoad() title = "To-Doリスト" view.backgroundColor = .white setupTableView() } func setupTableView() { tableView.frame = view.bounds tableView.dataSource = self tableView.register(UITableViewCell.self, forCellReuseIdentifier: "cell") view.addSubview(tableView) } } extension ToDoViewController: UITableViewDataSource { func tableView(_ tableView: UITableView, numberOfRowsInSection section: Int) -> Int { return tasks.count } func tableView(_ tableView: UITableView, cellForRowAt indexPath: IndexPath) -> UITableViewCell { let cell = tableView.dequeueReusableCell(withIdentifier: "cell", for: indexPath) cell.textLabel?.text = tasks[indexPath.row] return cell } }
ポイント
デリゲートパターンを使用して、UITableViewのデータソースを設定します。
UIをコードで組み立てるため、レイアウトの定義がやや冗長になります。
柔軟なカスタマイズが可能ですが、その分コードの記述量が多くなります。
SwiftUIでの実装例
import SwiftUI struct ToDoView: View { let tasks = ["タスク 1", "タスク 2", "タスク 3"] var body: some View { NavigationView { List(tasks, id: \.self) { task in Text(task) } .navigationTitle("To-Doリスト") } } } struct ToDoView_Previews: PreviewProvider { static var previews: some View { ToDoView() } }
ポイント
宣言型構文を使い、UIを直感的に構築できます。
Listを使用することで、テーブルビューを簡潔に実装できます。
プレビュー機能を使えば、Xcode内でリアルタイムに画面を確認可能です。
結論: どちらが適しているのか?
UIKitを選ぶべきケース
複雑なカスタムUIが必要、または既存のUIKitベースのプロジェクトを保守する場合。 iOS 13以前のバージョンをサポートする必要がある場合。
SwiftUIを選ぶべきケース
新しいプロジェクトで、最新のiOSバージョンをターゲットにする場合。 シンプルなUIやプロトタイピングを迅速に行いたい場合。 Appleの他のプラットフォーム(macOSやwatchOS)でも同じコードを使用したい場合。
まとめ
UIKitとSwiftUIはそれぞれ異なる強みを持っています。プロジェクトの要件やチームの経験に応じて適切なフレームワークを選択することが重要です。SwiftUIの進化は目覚ましいものがありますが、現時点では2つを組み合わせて使用するのが最も実用的なアプローチと言えるでしょう。 皆さんはどのフレームワークをどのような場面で使っていますか? コメントでぜひ共有してください!
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