はじめに
こんにちは。研究開発部の島田です。今回は新型コロナウィルス(COVID-19)環境下における全国の保育施設への影響について、ICTサービスキッズリーの連絡帳機能のデータを使って調査・分析を行いましたので、その結果をご報告いたします。
分析条件
本調査では、ICTサービス「キッズリー」を利用している保育施設(全国2000施設以上)に対して、各施設における登園・欠席情報を元に、2020年2月1日〜2020年5月31日の期間で分析を行いました。
キッズリーに登園または欠席情報どちらも入力されなかったユーザーのデータは分析には含まれていません。
10都道府県における園児の登園状況
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、日本政府は2020年4月7日に緊急事態宣言を発令しました。対象地域は、7都府県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)。さらに、4月16日には対象地域を全国に拡大し、その後5月14日、5月25日と段階的に全国で解除されました。
本調査では、10都道府県(東京都、大阪府、神奈川県、千葉県、愛知県、兵庫県、北海道、埼玉県、福岡県、京都府)それぞれについて以下4つの期間(平日5日間)における保育施設への園児の平均欠席率を算出し、ヒートマップで可視化しました。
- 2020年3月23日〜3月27日
- 2020年4月13日〜4月17日
- 2020年5月11日〜5月15日
- 2020年5月25日〜5月29日
結果は下図のようになります。
地域差はありますが、緊急事態宣言が出されて以降、多くの地域で園児の欠席率が増加傾向にあり、特に宣言が発令された直後の4月13日の週(期間2)では関東を中心に平均欠席率は80%近い状態であったことがわかります。
また、直近の5月25日の週(期間4)においては、平均欠席率が関東でも60%程度まで下がってきており、緊急事態宣言が解除されたことによって、少しずつ登園する園児が増えてきていることが見てとれます。
10都道府県における緊急事態宣言期間の保育施設の稼働状況
本調査では、10都道府県(東京都、大阪府、神奈川県、千葉県、愛知県、兵庫県、北海道、埼玉県、福岡県、京都府)において、緊急事態宣言が発令された直後の2020年4月13日〜4月17日を対象期間とし、その期間における保育施設の稼働率を算出しました。
なお、今回の調査における保育施設の稼働率の定義については、対象期間内に1人以上の園児が登園された場合を稼働しているとし、登園園児数が0人だった場合を未稼働としました。
新型コロナウィルス感染拡大が続く中においても、いずれの地域も75%以上もの保育施設が稼働しており、地域によっては90%以上稼働していることがわかります。
欠席コメント欄への記入率の推移
キッズリーでは園児が欠席する際には保護者がコメントを残せる機能があり、そのコメント欄への1日ごとの記入率を算出しました。なお、本調査では全国の保育施設のデータを対象とし、分析対象期間は2020年2月1日〜4月30日としました。
横軸は日付、縦軸が欠席コメント欄への記入率[%]を表しています。
土日に登園する園児数が少なめであるため、周期的にデコボコしているグラフになっています。
2020年4月7日以前では、平日における欠席コメント欄への記入率はおよそ55%前後で推移していますが、緊急事態宣言が発令された2020年4月7日以降では欠席コメント欄への記入率がおよそ75%程度で推移しており、これまで以上にキッズリーの連絡機能を使って園と保護者間でのコミュニケーションツールとして活用されていることがわかります。
欠席コメント欄の頻出単語を可視化
緊急事態宣言が発令されて以降、欠席コメント欄に書かれた内容にどのような変化があったか分析をしました。なお、本調査では全国の保育施設を対象とし、分析対象期間は以下の2期間としました。
- 2020年2月1日〜2020年2月29日
- 2020年4月1日〜2020年4月30日
頻出単語の分析には自然言語処理(MeCabによる形態素解析)を施しました。
頻出単語の上位20位がこちらになります。
2020年2月
2020年4月
緊急事態宣言が出される前後では、欠席コメント欄への記入内容に明らかに傾向が違うことがわかります。4月はコロナ、コロナウィルスといった単語だけでなく、在宅や自宅といった単語が上位に来ており、緊急事態宣言期間においては多くの家庭が家庭保育をしていたことが示唆される結果となっています。
最後に、頻出単語をその頻度に応じた大きさで可視化した結果がこちらです。
本データの引用について
本記事中の調査・分析結果を引用される際は、必ず下記問い合わせページからご連絡ください。
その上で、引用される際は「ユニファ株式会社調査結果」の明記とリンクをよろしくお願いいたします。
最後に
本記事では新型コロナウィルス(COVID-19)環境下における保育施設の利用状況について、ICTサービスキッズリーの連絡帳機能のデータを使って調査・分析を行いました。
本調査から、保育現場は新型コロナウィルス感染拡大が続く中においても子どもたちの安全と安心を守るために最前線で対応していることがデータからも明らかになってきました。
こういった状況を踏まえ、ユニファ株式会社では最前線で働く保育者をはじめとする保育現場スタッフと保育施設を応援するため、以下の二つのプロジェクトを実施中です。
是非ご協力をよろしくお願いいたします。