ユニファ開発者ブログ

ユニファ株式会社プロダクトデベロップメント本部メンバーによるブログです。

新型午睡センサーの出荷検査の方法を改善したお話

こんにちは。QAエンジニアの大橋です。

ユニファはこれまで、保育現場の安心・安全を支えるIoTデバイスとして「午睡センサー」を提供してきており、新型機は2025年6月から運用を開始しております。過去の記事で開発について午睡センサー開発記を公開しておりますが、今回は出荷検査工程で検査方法を改善したお話と、改善にあたって調査した事をお話しようと思います。 (午睡センサーは、決められた検査が全て合格している事を確認してから出荷しております。)

内容としては、「新型午睡センサー自体ではなく、出荷時実施の検査方法に課題があり発生していた事象に対して、検査方法を変える事で事象を改善できた」というお話となります

午睡センサーについてはこちら

prtimes.jp

調査のきっかけと状況

新型午睡センサーを出荷する前の検査で、以下のような問題が起きていました。

  • 決められた距離までセンサーとタブレットを離すと、Bluetoothの接続が切れてしまう (決められた距離まで離しても、接続したまま使えることを確認する検査です)

過去に旧型機では発生していたものの、新型機でも発生する状況でした。

そのため、早急に原因を調べて改善する必要がありました。

調査のために行ったこと

前提条件

事前に、リリース時のテストで使用したセンサー(以降、旧ロット検査合格品と記載)で、「決められた距離までセンサーとタブレットを離した状態での電波強度(RSSI)測定を実施」しており、電波強度からも安定して接続できていることが確認できていました。 そのため、調査の際には基準データとして使用しています。

接続確認検査不合格品の再現確認

まず、接続確認で検査不合格となったセンサーの再現確認と定量評価のため電波強度の測定を実施しました。

結果、以下のような状況となりました。

  • 事象が再現しないセンサーが多い結果
  • 検査不合格の事象が再現したセンサーに関しては、電波強度が低い値の傾向あり
  • 検査不合格の事象が再現しなかったセンサーに関しては、電波強度の平均値が旧ロット検査合格品と同程度の値となり、安定して接続できている状態

検査不合格の事象が再現しなかったセンサーの方が割合としては多い結果から、ユニファが行う調査に関しては、まずは検査不合格の事象が再現しなかったセンサーに絞って行う方が効果が大きいと考えました。 また得られた結果から、検査不合格の事象が再現しなかったセンサーに関しては、センサー自体ではなく、環境要因や検査工程の手順といったような外部要因により検査不合格となっている可能性を考えました。

環境要因と仮定しての調査方針検討

再現確認結果から、出荷検査で検査不合格になる要因はセンサー自体ではなく、「出荷検査を実施する場所で外部要因による影響を受けている可能性」と仮定しました。 この仮定の下、最終的には出荷検査を実施する場所での電波強度測定による調査が必要と考えました。 調査の前段階の準備として、調査結果の比較検討用データを取得するため以下を実施しました。

  • 検査合格品を借り、オフィス環境での電波強度を測定
    • 最新ロットセンサーの電波強度を取得し
    • 最新ロットセンサーの電波強度が基準データと同等である想定の下、比較確認して
    • 以降の調査において、最新ロットセンサーを使用して電波強度取得ができるようにする目的

オフィス環境での最新ロットセンサーの電波強度取得と比較

最新ロットセンサーの検査合格品(以降、新ロット検査合格品と記載)を借り、以下に記載のオフィス環境で電波強度を測定しました。(リリース時テストと同条件)

  • 測定場所:ユニファオフィス(リリース時テストの確認をオフィスで実施したため)
  • 測定環境:見通し障害物無し
    • 配置場所:天板が樹脂製のオフィスデスク
    • 距離:直線かつ決められた距離
    • 位置関係:下に箱を配置し、センサーとタブレットの高さ位置を合わせる

測定後、旧ロット検査合格品の電波強度と、新ロット検査合格品の電波強度を比較しました。 結果、両者間で電波強度の平均値、および平均値の標準偏差に有意差は見られませんでした。

よって、新ロット検査合格品を使用する事は妥当であると確認できました 以降の電波強度の調査では、新ロット検査合格品を使用して、電波強度の取得と調査を実施する事としました。

出荷検査を実施する場所での電波強度測定

現状調査

電波強度の調査をする前に、まずは検査状況(環境条件、検査方法等々)の現状確認を実施しました。

環境条件においては明確にBluetoothの通信に影響を与える要因は見当たりませんでした(無線干渉、モーターといったノイズ源、高圧送電線や変電所といった近隣環境、発生時間帯の有無)。 そのため、検査方法が影響を与えていると仮定して、実際の検査状況と同じ配置・方法で電波強度の測定(N=4)を行う事にしました。

結果、オフィスでの測定値に対して平均値で約11程低い結果が得られました。 (標準偏差に関しては若干の差が見られましたが、測定環境が異なる事によるものと考えます。)

この事から、検査方法が電波強度の低下を招き、接続に影響を及ぼしている可能性が高いと考えました。 そのため次のアクションとして、電波強度低下の要因検討と、検査方法を変えて電波強度が改善するかを調査する事としました。

検査方法と電波強度低下の要因検討

現状調査時の検査方法は下図の状態で、測定結果と状況から、接続に影響を及ぼすと考えられる要因がいくつかありました。

○接続に影響を及ぼすと考えられる要因

  1. センサーが金属台の上に配置されている
  2. 直線距離におけるのBluetooth電波進行方向に、導電性の金属台フレームが存在する可能性
  3. センサーとタブレットの高さ位置が異なる

上記要因、特に1,2により発生するBluetooth電波の反射・減衰が、電波強度の低下に大きな影響を与えている事が考えられました。 そのため、現状の検査環方法を変える事で改善を試みました。

改善後の検査方法について

以下を試した結果、高さ位置を合わせる・金属台の上に配置しない、という状態を作る事で改善できそうな見通しが見えました。

  • パターン①
    • センサー:金属台の上に配置、高さ位置は変更無し
    • タブレット:木製台の上、センサーと同じ高さ位置
    • 結果:検査環境再現時より、電波強度が平均値で約5改善
  • パターン②
    • センサー:金属台に紙製の箱を2段重ねた上に配置
    • タブレット:木製台の上、センサーと同じ高さ位置
    • 結果:検査環境再現時より、電波強度が平均値で約7改善

得られた結果より、簡易的に下図のような検査方法を作り出して確認を行う事としました。 (検査検査実施場所にある、あり合わせの部材で構築しましたので、簡易的なものとなります。)

改善後検査方法での電波強度測定結果

簡易的に作成した、改善後の検査方法で電波強度を測定した結果、以下が得られました。(時間的な制約によりN数が少なくなっています)

  • オフィス環境で測定した電波強度の平均値とかなり近い値となり、大きく改善した
    • 標準偏差はオフィス環境測定より大きいものの、測定環境が異なる事により発生したものと推測

まとめ

調査の結果、新型午睡センサー自体の問題では無く、検査方法が原因で発生している事が判りました。 そして、検査方法を変える事で大きく改善させられる結果が得られました。

この結果を受けてネクストアクションとしては、簡易的に構築した検査方法を、再現性が保てる形で形式化して検査工程を運用する事が必要になります。そして、改善した検査方法での検査成績をウォッチしていき、本当に改善しているかを確認していく必要があります。

おわりに

発生事象の調査と改善方法の検討は前職で良くやっていたため、対応方法についてはその時の経験が生きたと感じています。 ただ、Bluetoothを使用したプロダクトの調査と改善方法の検討はユニファで初めてのため、文献を調べたりと情報のインプットに時間を要しました。 有識者の方からすると拙い内容とは思いますが、結果として改善の見通しまで立てられたため、目的を達成する事ができたと考えます。

今回は、開発側のメンバーだけでなくビジネス側の調達担当の方と連携して解決の見通しまで立てる事ができました。 この場を借りてお礼を申し上げます。色々とご助力頂きましてありがとうございました。

QAエンジニアとして今回のような運用段階の課題に対して、横連携して調査から解決までを主導して行う動きを取れた事は貴重な経験だったと思います。今回の動きを通して、運用側に立つビジネスサイドの方に対しても、製品にしっかりと向き合う姿勢を見せる事と、QAエンジニアはここまで考えて動く事ができる事例を示せたと考えます。


ユニファでは、これまでの経験を生かしながら一緒に課題解決に臨む仲間を募集しています。

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