みなさんこんにちは。午睡チェックのディレクターをしている保坂です。
LINEの返信をしようとしたら、スマホをどこかに置き忘れた。 電車に乗ろうとしたら定期券が無いといった、困った経験はないでしょうか? さらにそういった失敗から、大事な商談ができず、大きな損害に繋がる、時すでに遅しになってしまうこともあります。 今回はそういった「ヒューマンエラー」とはなんなのか調べてみました。
ヒューマンエラーとは次の意味があります。
「ヒューマンエラー(英: human error)とは、人為的過誤や失敗(ミス)のこと。 JIS Z8115:2000[1]では、「意図しない結果を生じる人間の行為」と規定する。」
期待していた結果と異なる結果になってしまった、ということがヒューマンエラーと言えそうです。言葉の定義がわかったところで、次に、ヒューマンエラーの種類と原因を見ていきたいと思います。
ヒューマンエラーの種類
▼結果からみたヒューマンエラーの種類
1.オミッションエラー(ommission error) (やり飛ばし、やり忘れ) |
必要なタスクやタスクのステップを行わなかった。 |
2.コミッションエラー(commission error) (やり間違い) |
タスクは行っているが、違うことをした。 |
3.イクストレニアアクト(extraneous act) (余計なこと) |
本来やるべきではないタスクや行為を、タスクの中に挿入している。 |
4.シーケンシャルエラー(sequential error) (順序違い) |
タスク遂行の順序が違う |
5.タイムエラー(time error) (タイミングが悪い) |
やることはやっているがタイミングが早すぎ、または遅すぎ。 |
▼人間特性から見たヒューマンエラーの種類
・個人の分類 | |
1.人間能力的にできないという、できない相談 | |
2.取違、思い込み、ミステイクなどの、判断の錯誤 | |
3.し忘れなど、記憶の失念 | |
4.その作業を遂行するのに必要な知識不足、技量不足 | |
5.手抜きや怠慢などの違反 |
・チームの分類 | |
6.チームの意思不疎通 |
・組織の分類 | |
7.組織の不適切行為 |
▼ヒューマンエラーの背後要因
体調・意欲・注意・環境・時間 など |
出典:著者名[小松原明哲]著, 出版社名[丸善書店], 書名[ヒューマンエラー第3版] P21
なんだか思い当たる節もあり、お腹が痛くなりそうな要素ばかりです。
ここで自分の仕事に置き換えて考えてみたいと思います。
ローンチする前の開発プロジェクトを、計画段階(企画する段階)と実施段階(エンジニアが開発する段階)の2つに分けて考えてみると、計画段階では5w1hで、誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように利用するのか考えて企画し、実施段階では、タスクを分解し、計画した企画通りに開発が行えているのかスプリントを切って、進捗確認をしながら開発を行っています。
とてもざっくりとした説明でしたが、計画段階と実施段階でのヒューマンエラーを考えてみると、計画段階では、要件漏れ、計画タイミングが悪くリソースのアサインができない、需要見込みの勘違いなどが考えられそうです。実施段階で、必要な要件の読み違い、見積もり幅の違い、意思疎通ができず連携がとれていない、などあげられそうです。
では、ヒューマンエラーを防止するにはどうしたらいいのでしょうか。ヒューマンエラーを防止するにはヒューマンファクターの最適化を目指すべきだそうです。
ヒューマンファクターの要素
S:ソフトウェア(software) | 作業手順や作業指示の内容。それが書いてある手順書や作業指示書。作業指示の出し方、教育訓練の方式など、ソフトにかかわる要素 |
H:ハードウェア(hardware) | 作業に使われる道具、機器、設備など、ハード的要素 |
E:環境(environment) | 照明や騒音、温度や湿度、作業空間の広さなどの作業環境に関わる要素 |
L:周りの人たち(liveware) | その人に指示、命令をする上司や作業を一緒に行う同僚など、人的な要素 |
m:マネジメント(management) | 全体を眺めて、バランスをとっていく役回り |
出典:著者名[小松原明哲]著, 出版社名[丸善書店], 書名[ヒューマンエラー第3版] P19
SHELモデルでは、自分自身(Lo)を中心に置き、その周りに発生要因(ヒューマンファクター)を置きます。先ほど出した計画段階での要件漏れに対しては、ソフトウェアの、作業指示書やチェックリストをフォーマット化することで防げる可能性もありますし、実施段階での、必要な要件の読み違いも同じことで解決する可能性があります。ちなみに、そのほかの要素分析の方法として、5M4E法というものもありました。
一方で、いくら対策をしても解決しないこともあります。
いくら教育や訓練を改良しても、ミスが減るとは限りません。その理由は、人間がミスをする確率を完全にゼロにできないまま、人間に最上位の決定権限を与えているという仕組みそのものにあります。 最終決定者が間違えてしまうと、いくらエラー対策をしてももうダメです。
出典:著者名[中田 亨]著, 出版社名[日科技連出版社], 書名[防げ現場のヒューマンエラー] P22
いくらマニュアルを用意して、マニュアル通りに使っていても、小さなミスは、起こらないと言えないのです。そのために、m-SHELモデルのmがあると思います。ここも共感できるところがありました。
ヒューマンエラーによる事故を防ぐ能力は、「ミスをしない能力」とは異なります。ミスをしない能力も大切ですが、ミスをしたことに気づき、それを立て直す能力の方がより重要になります。不良品をおおくつくってしまう不器用な作業員がかならずしも事故を起こすとは限りません。ベテランの作業員が事故の引き金を引くことも十分にありえます。不器用さは部分的な要因にすぎないからです。
出典:著者名[中田 亨]著, 出版社名[日科技連出版社], 書名[防げ現場のヒューマンエラー] P48
「防げ現場のヒューマンエラー」ではヒューマンエラーの事故を防ぐ能力は3つあると、著者の中田さんは書かれています。この先は本をお読みいただきたいのですが、事故の芽を積むことができれば、それは事故にはならないわけです。最悪の状態にならないために、m-SHELモデルの中身を分析し対策を工夫すべきなのだということです。
最後に
ヒューマンエラーを調査してわかったことは、人間がやることだから人間が気持ちよく仕事をしていくために、どうしたら良いのか追求すべきだと思いました。失敗を防げれば、従業員の満足度が上がり、顧客の満足度が上がり、企業満足度もあがる相乗効果があるのだと、ハッキリしました。