ユニファ開発者ブログ

ユニファ株式会社プロダクトデベロップメント本部メンバーによるブログです。

プロダクト開発におけるβ版とはなんなのか

こんにちは、ユニファでプロダクトマネージャーをしている田代です。

プロダクト開発の現場では、新しいサービスや機能を提供する方法として、β版というリリース手法がよく採用されます。 ユニファでも生成系AI ChatGPTを活用した入力補助機能をβ版として提供しています。

prtimes.jp

今年に入って私が所属しているチームでも、このβ版のリリース手法を採用したプロダクト開発を進めています。実際に進めていく中で感じた意義や注意点について、自分なりに整理してみたいと思います。

プロダクト開発におけるβ版とは

β版は、試作品の段階でサービスを提供することで、低コストでサービスを検証できる手法です。 会社やサービスによって位置付けは多少異なりますが、主にプロダクトの品質やユーザーエクスペリエンス(UX)を確認するために利用されます。

クローズドβ版とオープンβ版

β版は大きく分けて、クローズドβ版とオープンβ版に分類されます。 クローズドβ版は限定されたユーザーにのみ提供され、オープンβ版は誰でもアクセスや利用できる形式です。 オープンβ版では多くのユーザーフィードバックを得られるため、一般的にはクローズドβ版からオープンβ版に移行する流れが多いように感じます。

β版の手法を活用する中で感じた意義

● 早期にユーザーへ利用してもらい、フィードバックを得られる

β版をリリースすることで、実際のユーザーに早期に利用してもらい、リアルタイムでフィードバックを収集できます。サービス開発において、企画・設計・開発・テストした結果、ユーザーが利用できるのは検証が最後の工程になってしまうので、時間を使って作ったものが、ユーザーが望んでいないものだったという展開を避ける意味でも利点があると感じました。直接ユーザーに使ってもらわないとニーズの度合いが分かりにくい仮説に対しても有効そうです。

● 後から柔軟に削ったり変更したり方針転換しやすい

β版はまだ完成前の状態であるため、フィードバックやデータをもとに柔軟に機能を追加したり変更しやすいと感じました。多くの利用ユーザーがいる場合、大規模な修正をしたいことがあっても実施するまでに時間が掛かってしまう、ということを回避するにも繋がります。

● 運用上のリスクを減らせる

β版は限られたユーザーが利用するため、運用上のリスクを軽減できます。例えば、サーバーへの急激な負荷や主要な機能で発生する障害などに対する対処がしやすくなります。顧客対応チームも限られたユーザーからのフィードバックに集中できるため、問題が大きくなる前に対策を講じやすいです。

他にも販促面やブランド認知、顧客エンゲージメントの向上等あらゆる方面でのプラスの要素があると実際に進めていく中で感じました。

β版を取り扱う上での注意点

β版というリリース手法は確かに良い点もありますが、取り扱う上では注意点もあると感じたので記載します。

● 社内・顧客との期待値調整

サービスによっても異なるので一般的にとは言えないですが、β版という位置付けであってもほとんど完成された、完全に動作を保証されたもの、と考えられがちです。早期に検証する意味合いでのβ版なので、実際には制約事項が存在します。場合によって提供終了する場合もあります。 これらの制約事項を踏まえた期待値調整を行わないと誤解が生じる可能性があるため、実際にβ版を利用いただくユーザーだけではなく、社内間でも目線合わせが大切だと感じました。

● 明確な目標設定

早期の検証をするだけではなく何を検証したいのか、何を学ぶのか、どういうシナリオが想定されるか等を事前に明確にしておくことです。β版をする以上は目的があるはずなので、次のフェーズに進めていく中での判断材料や軸は予め設定、分析のための準備をしていくことが重要だと感じました。

● マネジメントコストの増加

β版だから、という訳ではありませんが、早期に検証するといっても適切なコミュニケーションや事前準備は必要です。β版で機能を制限する場合でも何を落とすかどうか等の判断や説明責任は都度発生します。また必要に応じてユーザーへの説明や利用規約の反映など、適切に運用するための整理は求められると感じました。

β版との正しい付き合い方

β版リリースは、成功角度を高めるプロセスの重要な一部で、最終的にサービスを利用するユーザーの価値を最大化するための一つの手法だと思います。 リリースすることで想像もしていなかった良いフィードバックを得られる可能性もあります。自分たちの至らなさを早く理解する機会にもなるかも知れません。"出来上がりに不足があっても早く検証をしていくこと" は "出来上がりが綺麗でも検証するまでが遅い" より勝ると思っていますし、とにかく世に出すことも大切だと思います。 使いこなすのは一定のハードルやコストも伴いますが、それでもユーザーのために正しいプロダクトを提供するなら検討しても良い手法かと思います。

最後に

時代の流れやユーザーニーズは迅速に変化するので、プロダクトは常に改善し続ける必要がありますし、実際に世の中にある多くのサービスも常に進化を続けています。全てが完璧な製品が存在しない以上、プロダクトは永遠のβ版であるとも言えるのかなと思いました。 次回は、実際にどのようにβ版の開発プロセスを進めていたかの中身の部分を話せるといいなと思います。


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