"未来を予測する最善の方法は、未来を発明することだ "
アラン・ケイ
こんにちは。プロダクトマネージャーの井口(いのくち)です。上の言葉はパーソナルコンピューターの父と言われる、アメリカの計算機科学者のアラン・ケイの言葉です。
「未来を発明する」という意識はなくても、多くの企業が顧客が生活を便利にできるようなサービスやプロダクトを開発していると思います。
適切な顧客課題と解決策の発見のために多くの仮説検証が行われていますが、仮説検証が思ったように進まず、苦しんでいる企業やプロダクトマネージャーも多いのではないかと思います。
私も四苦八苦している1人ですが、昔より仮説検証を早く進められるようになった考え方があるので、今日はそれをお伝えします。
仮説検証の流れ
仮説検証のゴールは、
「顧客(A)は〇〇という課題(B)を持っており、その解決のためにXXという解決策(C)を採用する」
これに当てはまるABCを見つけることと言えます。 ABCの発見のためには「仮説を立てる → 検証する → 仮説を更新する → 再検証する」という、仮設検証サイクルを回していくことになります。
仮説検証をスピードアップする方法
仮説検証が進まない原因
仮説検証が進まない原因の1つに「初期仮説(初めに考えていた仮説)が外れた時に、次に何を仮説検証すべきか分からない」という問題があります。 初期仮説は外れる場合が多いのですが、初期仮説の次に何を検証するかを考えられず、検証スピードが落ちてしまう場合が多いと感じています。(私も経験しました。。)
この問題の回避策として、次の3点を意識することをお勧めします。
- ターゲット顧客・顧客の課題・解決策の観点から、構造的に仮説を設計すること
- 着手している仮説検証が構造上のどの位置にあるか意識すること
- 仮説が外れた場合は、同階層で別の仮説を検討したり、階層を上下して新しい仮説を見つけること
具体例を通じて、この回避策を利用した仮説検証の進め方を見ていきましょう。
仮説検証の具体例
はじめに、あなたは製薬メーカーで花粉症対策用の薬を作っているとします。
- 経営方針で、花粉症対策の新薬を作ることが決まり、あなたは新薬企画担当に任命されました。
- すでに、鼻詰まりを解消する薬は開発済みとします(飲み薬、点鼻薬)
さて、あなたはこの後、どのように企画を立てていきますか? (この例では、予算云々や重要仮説かどうかなど、実践上重要になる点は省いています)
最初に、あなたは現状を構造化してみることにしました。するとこのようになります。
次に、あなたは過去の調査で、花粉症の人は「目も痒くなりやすい」ことを思い出しました。このことから課題を広げてみたところ「目の痒みを解消したい」という課題がありそうなことに気付きました。
この課題の解決策として「目の痒みを抑える目薬があると使われるのでは?」という仮説を考え、目薬の開発を検討します(初期仮説構築)。
調査をしたところ、目薬マーケットは競合が多く、参入が難しいことがわかりました(初期仮説棄却)。 そこで、あなたは再度花粉症の人の行動を調べると、部屋干しが多いことが分かりました。
「行動には何らかの理由(解決したい課題)がある」と考え、花粉症の人と部屋干しの関係(顧客の行動理由)を考えてみることにしました。(「?」に当てはまるものは何か)
課題の抽象度を上げて考えてみたところ、「花粉症の症状が出ないようにしたい」という課題がありそうなことに気づきました。
これを新薬の具体的なアイデアに落とすと、「花粉症の季節の前に飲めば、鼻詰まりが起きないような薬」のニーズがありそうと気づきました。
あなたはこの新薬のアイデアの受容性を新しい仮説として、仮説検証を進めていくことにしました。(具体例はここで終わりです。)
まとめ
上記の例で見てきた通り、サービスを構造的に考えて仮説検証することで、仮説が詰まった時に他の仮説を想起しやすくなります。
仮説の想起の際は、同階層でアイデアを考えてみたり、抽象化・具体化して考えてみることで、新しい仮説を作り出してみてください。
あなたのサービスやプロダクトの仮説検証が進むことを願っています。
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